2024年度後期より、本学と神戸市立工業高等専門学校(以下、高専)は、授業科目の相互開放を開始しました。これにより、理系の高等教育機関である高専の科目の一部が、本学の学生だけに特別開放されることになりました。
本学から初めて高専の授業に参加した学生は、自らの専攻とは全く異なる分野の授業を体験することにより、どのような気づきや刺激を得たのでしょうか。受講した学生2名に感想を聞きました。
<2024年度後期 高専から外大への特別開放科目一覧>
専攻科科目 (単位認定を伴う科目等履修として開放) |
本科科目 (単位認定を伴わない聴講科目として開放) |
技術英語 | 地理学 |
アルゴリズムとデータ構造 | 自然科学特講 |
コンピュータグラフィクス | 手話言語学 |
都市交通計画学 |
<インタビュイー>
国際関係学科3年 Оさん(受講科目:都市交通計画学)
英米学科1年 Iさん(受講科目:自然科学特講)
*学年は2024年度現在。
高専の科目を受講しようと思ったきっかけを教えてください。
(国際関係学科Оさん)
私が高専の科目を受講した一番の理由は、外大にはない授業を求めたからです。また、「都市交通計画学」を選択した理由としては、昨今、多くの企業が取り組んでいる地方創生に関連した科目は、自身の将来に役立つと感じたからです。シラバスを確認して、道路の整備や地方でイベントを開催した際の人の流れや交通経路など、将来役に立つことが学べるのではと思い、受講することにしました。
(英米学科Iさん)
私は高校で理系を選択していたこともあり、文系の本学に入学してからは「理系ロス」になっていました。高校の時は物理がとても楽しかった思い出があったため、大学に入ってからも、もう一度勉強したいと思うようになりました。そんなときに、高専の科目を受講できることを知り、外大にはない「自然科学特講」を受講しました。
どのように授業に取り組まれていたのか、受講中の様子を教えてください。
(国際関係学科Оさん)
まずは、楽しむことに重きを置いていました。純粋に新しい知識を学べる楽しさがありました。受講中は、道路の歴史を振り返る内容や、どのようなプロセスで交通計画を作っていくのかという計画策定の流れなどを学ぶことができて良かったです。また、後半のグラフを用いた授業では、自分で計算をする必要があり、難易度が高く感じたため、楽しむことよりも理解することに重きを置きながら受講していました。
私が受けた科目は、座席が固定されている形態だったため、最初の授業で自分用の席を用意していただきました。また、先生に直接連絡をとれるように配慮していただいたため、受講中に特に困ることはありませんでした。また、クラスの雰囲気はとても落ち着いており、高専生の輪に入っていきづらいと感じることもありませんでした。
(英米学科Iさん)
基本的には、とにかく理解することを最優先しながら受講していました。ノートを取ったり、メモを残したり、分からないところがあれば先生に質問したりしながら受講していました。今回は単位認定を伴わない「聴講」形式での受講だったため、試験は受けませんでしたが、試験を受けたとしても合格するぐらい頑張ろう、という心づもりで受講していました。
?私が受けた科目は、高専の複数の学科の学生が受講する授業であったためか、受講者が多く、一般的な講義形式の授業と同様に、座席は自由でした。そのため高専生の中に入っていくことに、特に緊張感はありませんでした。また、授業に関する連絡は、高専の学修管理システムを通じて共有いただいていました。
受講を振り返って、良かった点を教えてください。
(国際関係学科Оさん)
授業ではパワーポイントやレジュメなどを用いて丁寧に教えていただいたため、素人の私にも、とてもわかりやすく感じました。また、先生が授業中に私にも質問をしてくださったこともあり、最初は緊張しましたが、外大生であっても受講者の輪に入れていただいていると感じ、嬉しかったです。
(英米学科Iさん)
授業内容そのものが自身の興味ある分野だったので、全授業を通じて非常に楽しい時間でした。授業後に先生に15分程度時間を割いていただき、質問ができたことが本当にありがたかったです。また、一緒に受講している高専生が5年生(高専の最終学年、大学2年次相当)であったため、卒業研究の準備をしており、授業中に先生が高専生の卒業研究の内容について言及されることがあったため、伺っていてとても面白かったです。その他にも、授業の冒頭に先生がお話になるノーベル賞やイプシロンロケット等の理系ならではの時事トピックスを通じて、楽しく知見を広げることができました。
今後受講してみたい科目があれば、教えてください。
(国際関係学科Оさん)
今回受講させていただいた先生が担当される科目には興味があるので、「交通計画」を引き続き受講してみたいです。また、「アルゴリズムとデータ構造」にも興味があります。私の受験時代には共通テストの試験科目に「情報」がまだなかったのですが、今では必須科目となっている(*)ので、将来に向けて、自身が身につけてこなかった知識を得ることが必要だと考えています。
(*)外大では、2025年度入試より「情報Ⅰ」が必須科目となっている。
(英米学科Iさん)
「自然科学特講」が単位認定を伴う「科目等履修」として開放されるのであれば、もう一度受講してみたいと思います。また「工業英語」や「技術英語」は、外大で学ぶ英語と同じ語学であるとしても、分野が異なれば、学修内容も全く異なると思うので、今後学べたら嬉しく思います。
2023年度の同一法人化を契機に、本学と高専は、グローバル人材の育成及び情報教育の両分野を中心に、双方の学生がより多くの学修機会を得られるように、教学面の取組を強化してきました。今回、高専からの開放科目を受講した本学の学生が、広い視野で自身の現在や将来を見据えた結果、この授業科目の相互開放の機会を活用し、新たな視座や発想を獲得した様子から、教学面の取組が一歩前進したことがうかがえました。
今後もより多くの学生に多様な学修機会を提供できるよう、本取組を継続していきます。
2025年度の高専科目の特別開放については、GAIDAI PASSを通じて募集要項及び出願書類が公開される予定です。
高専の教育の仕組みについては、以下のウェブサイトをご参照ください。
高専公式ウェブサイト(外部サイト)
https://www.kobe-kosen.ac.jp/introduction/whatis/
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